初めてでも安心!エンディングノートの書き方完全ガイド|項目と例文付き
2025.12.23

「終活」という言葉が一般的になり、自分の最期について考える人が増えています。しかし、いざエンディングノートを書こうと思っても、何から手を付ければ良いのか、どんな情報を書けば良いのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?本記事では、エンディングノートの書き方の基本から、書くべき項目、役立つ例文までを分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも安心してエンディングノートを作成し、大切な人に想いを伝えることができるでしょう。
エンディングノートに書くべき項目
エンディングノートを作成する際、「何から書けばいいの?」と悩む方は少なくありません。ここでは、エンディングノートに含めるべき主要な項目を具体的に解説します。これらの項目を参考に、ご自身の情報を整理し、大切な人に正確に伝えられるように準備しましょう。
基本情報
エンディングノートの冒頭には、ご自身の基本的な情報を記載します。これは、万が一の際に家族や関係者があなたの身元を確認し、迅速な対応を取るための基盤となる情報です。氏名、生年月日、住所、連絡先といった基本的な情報に加え、緊急連絡先、かかりつけ医、血液型、アレルギーの有無など、健康に関する情報も記載しておくと良いでしょう。これらの情報は、特に緊急時に役立つため、正確に、かつ分かりやすくまとめておくことが重要です。
財産に関する情報
財産に関する情報は、相続手続きを円滑に進める上で非常に重要な項目です。預貯金(銀行名、口座番号)、不動産(所在地、権利証の保管場所)、有価証券(証券会社名、口座番号)、生命保険(保険会社名、証券番号)、年金、クレジットカード情報などを記載します。また、借入金やローンといった負債についても明確にしておく必要があります。これらの情報に加え、通帳や印鑑、権利証などの保管場所、貸金庫の有無なども記しておくと、家族が手続きを行う際の負担を大きく軽減できます。
医療・介護に関する希望
ご自身の医療や介護に関する希望を明確にすることは、家族があなたの意思を尊重した判断をするために不可欠です。具体的には、延命治療の希望の有無、終末期医療に対する考え、臓器提供の意思、かかりつけ医や病院の情報、希望する介護サービスの形態などを記載します。これは、ご自身が意識不明の状況になった際など、意思表示が困難な状況で家族が迷わないための大切なメッセージとなります。
葬儀・お墓に関する希望
葬儀やお墓に関する希望も、エンディングノートで伝えておきたい重要な項目です。葬儀の形式(家族葬、一般葬、直葬など)、場所、参列してほしい人、遺影に使う写真、好きな音楽、お墓の種類(一般墓、樹木葬、納骨堂など)や場所、費用負担についてなどを具体的に記載しましょう。これらの情報を残しておくことで、残された家族が故人の意思を尊重し、故人らしいお見送りを実現できます。
家族へのメッセージ
家族へのメッセージは、エンディングノートの中でも特に心を込めて書きたい項目です。日頃伝えきれない感謝の気持ち、謝罪の言葉、残された家族への願いや期待、人生で大切にしてきたことなどを自由に綴りましょう。形式にとらわれる必要はありません。ご自身の言葉で素直な気持ちを表現することが大切です。例えば、「お父さん、いつもありがとう。これからも家族仲良く、笑顔で過ごしてください」「子供たちへ、どんな時も自分を信じて、前向きに進んでほしい」といった具体的なメッセージは、家族にとってかけがえのない宝物となるでしょう。
その他の情報(ペット、デジタル遺産など)
現代においては、従来の項目に加えて記載すべき情報が増えています。例えば、ペットを飼っている場合は、万が一の際の飼育に関する希望(引き取り手、世話の方法、かかりつけの動物病院など)を具体的に記しておきましょう。また、SNSアカウント、ブログ、オンラインバンク、サブスクリプションサービスなどの「デジタル遺産(デジタル遺品)」に関する情報も重要です。アカウント名、パスワード、サービスごとの対応方針(削除希望、アカウントの存続希望など)をまとめておくことで、家族がデジタル情報の整理に困ることを防げます。
エンディングノートの書き方:ステップバイステップ
エンディングノートは、一度書き上げたら終わりではありません。あなたの人生の節目や状況の変化に合わせて、内容を更新していくことが大切です。ここでは、エンディングノートをスムーズに作成し、長く活用していくためのステップをご紹介します。
STEP1:情報収集と準備
エンディングノートを書き始める前に、まずは必要な情報を集め、整理する準備から始めましょう。
1. 必要な情報を整理する 現在のあなたの生活に関わる情報をリストアップします。預貯金口座、保険、年金、不動産、加入しているサービス(携帯電話、インターネット、サブスクリプションなど)の契約内容、そして大切な人へのメッセージなど、多岐にわたります。これらの情報がどこに保管されているか、IDやパスワードなど、詳細がわかるように整理しておきましょう。
2. 家族と話し合う 可能であれば、エンディングノートに書く内容について、事前に家族と話し合っておくことをおすすめします。特に、医療や介護に関する希望、葬儀やお墓の希望などは、家族の理解と協力が不可欠です。話し合いを通じて、お互いの価値観を共有し、スムーズな意思決定につながります。
STEP2:各項目の書き方と例文
情報収集と準備が整ったら、いよいよ各項目を具体的に書き進めていきましょう。ここでは、前述した主要な項目について、書き方のポイントと例文をご紹介します。
1. 基本情報 あなたの氏名、生年月日、本籍地、住所、連絡先など、基本的な個人情報を記入します。
- 例文:
- 氏名:山田 太郎(やまだ たろう)
- 生年月日:1950年1月1日
- 本籍地:〇〇県〇〇市〇〇町1-1
- 現住所:〇〇県〇〇市〇〇町2-2
- 連絡先:090-XXXX-XXXX(携帯)、yamada@example.com(メール)
2. 財産に関する情報 預貯金、不動産、有価証券、保険、年金など、具体的な財産の内容と保管場所、連絡先などを詳細に記入します。負債がある場合はそれも明記しましょう。
- 例文:
- 預貯金:〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:XXXXXXX
- 生命保険:〇〇生命保険 契約番号:XXXXXXX 担当者:〇〇
- 不動産:〇〇県〇〇市〇〇町3-3 土地・建物
- その他:クレジットカード(〇〇カード)
3. 医療・介護に関する希望 もしもの時の医療方針(延命治療の希望の有無など)、介護が必要になった場合の希望(自宅介護、施設入居など)を具体的に記します。
- 例文:
- 延命治療:希望しません。苦痛の緩和を最優先してください。
- 介護:できる限り住み慣れた自宅での生活を希望します。
4. 葬儀・お墓に関する希望 葬儀の形式(家族葬、一般葬)、宗教・宗派、希望する場所、お墓の希望(既存の墓、永代供養、散骨など)を具体的に書きます。
- 例文:
- 葬儀:家族葬を希望します。故人の意思を尊重し、〇〇寺で執り行ってください。
- お墓:〇〇霊園にある山田家の墓に納骨を希望します。
5. 家族へのメッセージ 感謝の気持ち、伝えたいこと、残された家族へのアドバイスなど、自由な形式でメッセージを綴ります。
- 例文:
- 「愛する家族へ。これまで本当にありがとう。あなたたちと過ごした日々は、私の人生の宝物です。どうか、これからも健康に、そして幸せに生きていってください。」
6. その他の情報(ペット、デジタル遺産など) ペットの世話を誰に託したいか、SNSアカウントやオンラインサービスのID・パスワード、退会希望の有無などを記入します。
- 例文:
- ペット(犬のポチ):〇〇さん(長男)に世話をお願いします。餌は〇〇、散歩は朝夕2回です。
- デジタル遺産:Facebookアカウントは閉鎖希望。パスワードは別紙に記載。
STEP3:定期的な見直しと更新
エンディングノートは、一度完成させたら終わりではありません。あなたの状況や考え方は時間とともに変化するため、定期的な見直しと更新が非常に重要です。
1. 見直しのタイミング 年に一度の誕生日や年末、または大きなライフイベント(引っ越し、結婚、退職、健康状態の変化など)があった際に、見直しの機会を設けるのがおすすめです。
2. 更新する際のポイント 内容に変更があれば、古い情報を修正し、新しい情報を追記します。特に、財産情報や医療・介護の希望は、状況が変わりやすい項目です。見直した日付を記録しておくと、いつの時点の情報か明確になります。
エンディングノート作成の注意点
エンディングノートは、あなたの想いを大切な人に伝えるための素晴らしいツールですが、作成にあたってはいくつかの注意点があります。特に、法的な効力や個人情報の管理、そして家族とのコミュニケーションは、後悔のない終活のために非常に重要です。
法的効力と遺言書との違い
エンディングノートを作成する上で最も重要な注意点の一つは、法的な拘束力がないという点です。エンディングノートは、あくまであなたの意思や希望を伝えるための「想いの記録」であり、法的な効力を持つ書類ではありません。
例えば、財産の分配や相続人に関する具体的な指示は、エンディングノートに書かれていても法的には無効です。財産の相続や遺贈について法的な効力を持たせたい場合は、遺言書を作成する必要があります。遺言書には、民法で定められた厳格な形式要件があり、それに従って作成することで初めて法的な効力を持ちます。エンディングノートと遺言書は目的が異なるため、必要に応じて両方を活用することをおすすめします。
個人情報の管理
エンディングノートには、あなたの氏名、住所、連絡先、銀行口座、保険情報、医療情報など、多くの重要な個人情報が含まれます。そのため、その管理には細心の注意が必要です。
具体的には、誰が、いつ、どのようにエンディングノートを見ることができるのかを明確にしておくことが大切です。信頼できる家族や関係者にのみ開示し、悪用されることのないよう、保管場所も慎重に選びましょう。鍵のかかる引き出しや金庫など、安全な場所に保管することをおすすめします。また、デジタルで作成した場合は、パスワード管理を徹底し、セキュリティ対策を講じることが不可欠です。
家族とのコミュニケーション
エンディングノートを作成したら、その内容について家族と事前に話し合うことが非常に重要です。エンディングノートは、あなたの意思を一方的に伝えるだけでなく、家族との対話を深めるきっかけにもなります。
あなたがどのような想いでエンディングノートを作成したのか、どのような希望を持っているのかを直接伝えることで、家族はあなたの考えをより深く理解し、尊重してくれるでしょう。もし家族がエンディングノートの存在を知らなかったり、内容について理解が不足していたりすると、万が一の際に混乱が生じる可能性があります。作成後も定期的に内容を見直し、その都度家族と共有することで、より円満で安心できる終活につながります。
おすすめのエンディングノート紹介
エンディングノートには、手軽に始められる紙媒体のものから、最新のデジタル技術を活用したものまで、様々な種類があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介し、ご自身に合ったエンディングノート選びの参考にしていただければ幸いです。
紙媒体のエンディングノート
書店や文具店などで手軽に購入できるのが、紙媒体のエンディングノートです。手書きで情報を書き込むため、温かみがあり、自分の気持ちを込めて作成できる点が大きな魅力です。インターネットやデジタル機器の操作が苦手な方でも、すぐに書き始めることができます。また、形として残るため、いつでも手にとって見返すことができ、家族も物理的に保管場所を知っていればアクセスしやすいというメリットがあります。
一方で、保管場所をしっかり決めておかないと紛失のリスクがあることや、情報量が多くなるとかさばる可能性があります。また、内容を更新する際には、修正テープを使ったり、書き直したりする手間がかかる点も考慮しておく必要があります。
デジタルエンディングノート
近年注目されているのが、スマートフォンアプリやウェブサービスを利用したデジタルエンディングノートです。デジタルならではの利便性が高く、情報を一元管理できる点が大きな特徴です。金融機関の口座情報やパスワードなど、多岐にわたる情報を整理しやすく、検索機能を使えば必要な情報にすぐにアクセスできます。
また、家族と共有しやすい設定ができたり、内容の更新も簡単に行えるため、情報の鮮度を保ちやすいというメリットもあります。しかし、デジタル機器の操作に慣れていない方にとっては、使いこなすまでに時間がかかる場合があります。さらに、サービス提供会社のセキュリティ対策や、万が一の際のデータ引き継ぎ方法なども事前に確認しておくことが重要です。
まとめ:あなたらしいエンディングノートを作成しましょう
エンディングノートは、あなたの人生を振り返り、大切な人へ想いを伝えるための invaluable なツールです。本記事では、エンディングノートの目的から、具体的な書き方、書くべき項目、そして作成時の注意点までを網羅的に解説しました。
エンディングノートには決まった形式や正解はありません。最も大切なのは、あなた自身の言葉で、あなたの想いを正直に書き記すことです。時間をかけてじっくりと自分と向き合い、家族への感謝の気持ちや、これからの人生に対する希望、そして万が一の時に備えて伝えておきたい情報をまとめていきましょう。
エンディングノートは一度書いたら終わりではありません。あなたの状況や考え方は常に変化していくものですから、定期的に見直し、必要に応じて更新していくことが大切です。そうすることで、常に最新のあなたの意思を反映した、よりパーソナルなエンディングノートへと育っていくでしょう。
エンディングノートの作成を通じて、あなた自身が安心して老後を過ごせるようになるだけでなく、残されたご家族が迷うことなく、あなたの意思を尊重した行動を取れるようになります。ぜひこの記事を参考に、あなたらしいエンディングノートを作成し、心豊かな終活準備を進めてください。

